依然として社畜


2週間限定、人生初のブラック企業体験もやっと折り返し地点まで来た。帰りは毎日同じタクシー会社に連絡してるので、ついに「いつものところでいいですか?」と先手を打たれるようになってしまった。誰しもが憧れる、常連客の「いつもの」をこんなところで達成してしまうなんて。

かつて、こんなに長い1週間があったろうか。学生の時と比べたら時間過ぎるのが本当に早くなったのにおかしい、と思って色々考えたら、なんかもう体感で今週長いわ〜とかじゃなくて、実際にもう2週間分の勤務時間を余裕で達成しているからだと知った。そりゃあ長いに決まってる。

1週間前は名前も知らなかった初対面の同僚達が、あまりにも長い時間と苦難を共にしているからか、この数日で誕生日にこの人達から寄せ書きとかもらったらめちゃくちゃ嬉しいだろうな、と思うくらいの位置づけになっている。死んだ顔をしたおじさんが死んだ顔をした男の子に、「家にいるパグより長い時間一緒にいるからさ、〇〇さんのことパグに見えてきた」と言っていた。朝8時〜朝4時という目に見えない闇シフトを組まれて働くおじさんには、成人男性が紛れもなく家のパグに見えてるのだ。あとちょっと普通にパグに似てた。あと、おばさんが電話と電話の合間にモンスター(白)を麦茶みたいなスピードで飲み干す姿を見ると胸が苦しくなる、ということをこの職場に来て知った。最近は夜中2時過ぎから、ペアになって5分ごとに仮眠しようというシステムが生まれた。5分以上経っても動かないようであれば声をかけるという、斬新かつ画期的かつ、冬の雪山的なシステムだ。お察しのとおり、全員がもう限界なのである。

今日は1日休みだった。朝4時に家に着き、着替えて顔洗って歯磨きしてベッドに行くなんていう気力は微塵もなく、家に着いた瞬間、ストーブの前でフランダースの犬みたいな体勢で爆睡した。目が覚めたら13時、ポケモンの実況を見てたらいつのまにか寝ていて、職場にミズゴロウが現れて係長がすごく丁重に仕事をお願いする夢を見た。猫の手も借りたいということわざがあるが、私達はいまミズゴロウでさえ働かせようとしている。

最近は残業代が入ったら何に使うかという話ばかりしている。めちゃくちゃ真面目そうな人が、「すごいでっっかくグッチって書いてる、誰が見てもガチガチのグッチの高くて下品な財布買います」って言っててすごく良かった。我々はいま、たった2週間の残業代を使ってグッチの財布を買おうとしている。なぜなら、余裕で買えるからだ。すごいでっっかくグッチって書いてる、誰が見てもガチガチのグッチの高い財布を、月のお給料にも、貯金にもノーダメージのまま実質タダで買えるけれど、その人は働きすぎているストレスで見たことない形の蕁麻疹が腕に出ていた。健康が第一なのだ、まじで。

私はグッチの財布までは買う勇気ないけれど、終わったらたくさん美味しいもの食べて、絶対温泉行って、普段買えないようなちょっと高い酒を飲むと心に決めている。あとはもっと楽しい内容のブログが書きたい。なんかもっとこう、20代OLっぽい、購入した化粧品がリピありかリピなしかとかそういう話したい。今のところ化粧品どころか、かろうじて眉毛を描く元気しかないしリップ塗る元気もないからパーソナルカラーがイエベ土(つち)になってるけど、あと残り1週間頑張ろうと思う。あと終わったら絶対に焼肉いく(とてもつよい気持ち)